眠れる美女/川端康成 1967年 評価:3
「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」という川端康成の後期の中、短編3篇からなる小説。後期の作品、特に中、短編は、それまでの行間のある情緒的な文章ではなく、例えていうなら三島由紀夫的に構築された文章という趣が強い。
「眠れる美女」は、男の力も気力もなくした老人が、若くて美しい裸体の娘と添い寝をするという物語。「片腕」は近未来というかアンドロイド的な、好きな女性の片腕を一夜借りて、それを自分の片腕と付け替えてみるという話。「散りぬるを」は二人の若い女弟子を異常者に殺された小説家の、異常者にまつわる回顧録というように、かなり異常な設定の小説であり、私はもともと川端作品の日本情緒的な文章が好きなので、文章力には感嘆するものの、好きかといわれるとそうとは言えないのが正直な感想。