嵐が丘/エミリー・ブロンテ 1847年 評価:2
1700年代後半。イギリス・ヨークシャーの裕福な家の主人に拾われ、実子たちと一緒に育てられたヒースクリフだったが、拾い主に可愛がられたことや生まれ素性のわからないところから、主人の実子たちには虐げられ、寡黙で屈折した心を持つ青年へと成長。唯一心を許した主人の娘のキャサリンは近所の裕福な家に嫁ぎ、ヒースクリフにもつらく当たるようになる。そしてヒースクリフはこの二つの家に対し憎しみをもって奇行を重ねる。
大学時代以来なので、約四半世紀ぶりの再読。当時はなかなか面白く読んだと思うのだが、大多数の登場人物が貴族的生活を送ってきた人間であるため、自分一人では生きられない、自分だけでは何も決められない、わがまま放題という情けない描かれ方がされており、共感を覚えるどころかむしろ嫌悪感をもってしまう。貴族に対する痛烈な風刺小説ではないのか?と思うほどのひどい描き方である。肝心の主人公のヒースクリフは思い込みの激しいろくでもない性格の人間だし、ヒロインのキャサリンも情緒不安定でわがまま、ヒステリックで高慢ちきな女性としか感じられず、こんな極端に嫌な人間たちだけのストーリーに途中でやめたくなったほど。
最近、古い名作を読み返しているのだが、どうも昔のような感動を感じられない。昔の名作は、大雑把に言えばストーリーは壮大で悲劇的な一方、登場人物はとても狭い範囲に限られており、著しく信ぴょう性がないこと、暮らしぶりが貴族然としているのでどうにも古さを感じてしまうことが主要因だと思う。