告訴せず/松本清張 1974年 評価:4
選挙の闇資金3000万円を持ち逃げした木谷は、逃亡先の温泉近くの神社の、小豆が大凶作になるという占いに乗り、持ち金の大半を小豆相場に投資。占い通り小豆は凶作となり木谷は2億を超える金を手にする。その後、元々警察に届け出ることのできない闇金であることから警察から追及も、選挙関係者からの追手の気配もないことを確認し、2億円を元手に、温泉でものにした女中とラブホテル経営という新規事業に手を付けるが。
週刊誌での連載作品だったので、同じ内容の繰り返しが多かったり、小豆相場や鹿の肩甲骨での占いの内容について、やたらと詳しく記載しているところがあったり、若干、特に前半は退屈な部分もあるのだが、後半からの転落へのストーリーは畳みかけるように鮮やかで、最終的には前半で張っておいた伏線が非常にうまく使われていたりで、さすがは日本ミステリー界の巨塔、清張の作品と唸らされる。
その当時の世相をベースとした話であるので、私の記憶にも若干残っているような雰囲気を持ち、清張作品によく感じる古臭さは感じない。