老人と海/ヘミングウェイ 1952年 評価:4
年老いた漁師サンチャゴは長い不漁にめげず、今日も小船に乗って漁に出かける。そこにはいつも一緒の少年はいなかったが、遠方で巨大カジキを3日間の格闘後、ついに釣り上げる。しかし港への帰路、疲弊したサンチャゴはサメの群れとの戦いに敗れ、港に帰ってきたときには巨大カジキは骨だけになっていたのであった。
本作が要因となって、ヘミングウェイはノーベル文学賞を受賞。もともとアウトドア派で釣りも大好きなヘミングウェイであるため、船の上での漁のための作業や、昼夜の大海原の表情の移り変わりなど、微細でありながら迫力ある描写に引き込まれる。一方、主人公の老師を慕う少年との温かみのある会話や、一人、海の上で自分の老いを受け止めながらもサメと格闘するサンチャゴの心情といった人間の内面の描写も秀逸で、大した展開のあるストーリーではないし、約150ページの中編であるものの、確かに含蓄深い名作である。