果しなき流れの果に/小松左京 1966年 評価:4


 大学の研究所助手の野々村は、教授の友人から砂の減らない砂時計を見せられ、彼らはそれを見つけた発掘現場へと向かうが、そこで時空を超えた世界へと足を踏み入れる。踏み入れた先の世界では、時間と空間の間を自在に行き来する種族同士による壮大な争いが巻き起こっていた。

 野々村と、それに敵対する組織に属する、もう一人の日本人を祖先とした松浦という二人が、時間も宇宙空間もこえ、それぞれの組織に属しながら追跡と逃亡を繰り返すのだが、小松左京の小説は、ただのSFではなく、そこに人間的な思想と、人類を超えたところからの第3者的な視点からの人間への矜持が含まれている。また、膨大な科学的知識に裏打ちされた、読者に具現化させる表現方法を持っていることで、その他の日本のSF作家と明らかに一線を画している。本作はそれらが明確に表面化しており、この壮大な設定と展開、哲学的な世界観と変幻自在の着眼点は、日本のSF界の第一人者というにふさわしく、明らかに世界レベルのSFと言える作品である。ただ、少々イッちゃってる感も強くて着いて行けないところもあるため、評価は4としておく。