ボッコちゃん/星新一 1971年 評価:3


 SF系短編小説の神様とも言われる星新一の、短編集『人造美人』『ようこそ地球さん』の中から19編、それにほかの短編集に収録の作品を加えて50編にまとめた自選短編集。

 特に前半に収録されている短編は非常に切れがあるし、社会への風刺も効いていて爽快さを感じる。確かによくよく考えると強引な展開だったり、言葉で語りすぎたりというところがあるのだが、短い尺の中で、それをほとんど感じさせないパワーがあり、それは、手塚治虫の優秀な短編のようなストーリーの絵ずらが思い浮かべられる程で、個人的には、短編小説界の手塚治虫という形容を連想させられた。

 ただ、やはり50遍もあると平凡な作品も多く、特に後半はだれてくることは否定しようがない。