白夜行/東野圭吾 1999年 評価:4

 1973年に大阪で起きた質屋殺し。何人もの容疑者が捜査線上に浮かぶが、決定的な証拠がないまま事件は迷宮入り。被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、その後別々の人生を歩んでいくかに見えたが、二人の周囲には不可解な凶悪犯罪が次々と起きる…。
 現在の亮司と雪穂を軸とした様々な事件、19年前から捜査に携わる刑事の人間模様と執念を丹念に描き、単なる事件の解決に向けたストーリーとしなかった点が秀逸。ただ、いかに悲惨な境遇にあった亮司と雪穂であっても、子供だった二人が殺人を見事にし終おうせるか、何が、その後の20年間に及ぶ執着の継続をさせるのかには疑問が残る。