ニューロマンサー/ウィリアム・ギブスン 1984年 評価:1
かつて電脳空間(サイバーバンク)における天才的ハッカーだったケイスは、依頼主に対する違反行為により神経を壊され、電脳空間へのジャック・インができなくなっていたが、別の目的でケイスの能力を回復させ、利用したいという雇い主が現れる。
本作で描かれるサイバーバンクという概念は、その後のSF界に大きな影響を与え、作中に使われる「マトリックス」や「ザイオン」という単語が物語るように、映画「マトリックス」(1999)の原型にもなった作品である。
物語全体が、荒廃し、猥雑な近未来の住空間とサイバーバンクをベースに描かれており、馴染みのない単語が淀みなく使われ、登場人物も非常に多いため、正直話についていけない。それは、本作発表当時では不可能だった、サイバーバンクの世界が「マトリックス」シリーズなどで完全に映像化されていることで、逆に文字だけで世界観を映像化するということがまどろっこしいと感じてしまうのと、私自身がもう最新テクノロジーについて行けてないという両面があると思う。
本作の歴史的インパクトは事実で、非常に重要な位置づけであるのは間違いないし、それを否定する気は更々ないのだが、とても最後まで読み切れないという点で評価は1にせざるを得ない。