宝石泥棒/斎藤栄 1976年 評価:3


 赤坂迎賓館で欧州小国の大公妃が世界有数のダイヤモンドを盗まれたが、第一容疑者の自殺により、事件は迷宮入り。その後、別の場所で宝石店から総額6億円相当の宝石が盗まれた。後者を企てた4人の男女を軸に物語は展開するが、無関係に思える二つの事件は思わぬ方向へと転がり始める。

 私の感覚で言うと、赤川次郎系である。素人的な登場人物たちによる、都合のよい展開を背景にした現実味のないミステリーエンタテイメント。読み始めてすぐそれを感じ取れたので、どんな奇抜な展開やどんでん返しがあっても、まぁそんなとこでしょうと全く驚くこともない。

 ただ、ストーリーはスピーディで展開も速いので飽きることはなくサクッと読めた。一時期、こういう類いのミステリーが流行ったんだなぁと哀愁も感じる。