ダ・ヴィンチ・コード/ダン・ブラウン 2003年 評価:4
宗教象徴学教授のラングドンは、パリ警察の連絡を受け、ルーブル美術館館長のソニエール氏が、ルーブル館内で、全裸でレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」の形を保ったまま死んでいる現場に立ち会う。ソニエールの残したダイイングメッセージから、容疑者として身柄を拘束されようとしたそのとき、ソニエールの孫娘であるソフィにより助けられたラングドンだったが、彼女とともに不可解な死を遂げたソニエールが残した暗号を解いていくうちに、ソニエール自身の秘密、その背景にあるキリスト教の価値観を大きく変えうる宗教的な秘密に気づくことになる。
レオナルド・ダ・ヴィンチの数々の絵に内封された秘密や、ソニエールの残した暗号を解いていく中盤あたりまでは、その謎解きや、登場人物の会話によって、宗教的背景を一般的な読者にも分かりやすく解説しながら、起伏のあるストーリー展開で読者を惹きつけていくが、終盤は同じような展開が繰りかえされるので、なんとなくだらけてくる感じは拭えない。
記載されているそれぞれの逸話等は、もちろん作者の想像もある程度加味されているのだが、事実を基にしているということで、今日のキリスト教の闇の部分を知ることができるのは単純に面白いし、このような内容を表沙汰に、しかもエンタテイメントとして描いたという勇気は賞賛されるべきだろう。