十五少年漂流記/ジュール・ヴェルヌ 1888年 評価:3


 1860年2月、家族ともども6週間の船旅に出る予定で、前夜に船に泊っていた8歳から14歳の少年15人を乗せた船が、何らかの理由でニュージーランドの港を離れ、荒海に漂流した果てに無人島にたどりつく。その土地で、彼らは船に残された食料や様々な道具や武器を使用しながら生活を始める。

 日本でいえば小学生~中学生の年齢の少年が、無人島で様々な困難に直面しながらそれを乗り越えていくという内容は、同年代の子供らにとってはきっと魅力的であろうことは容易に想像できるのだが、十分大人になった今となっては、正直、上手くいきすぎと感じてしまうのは致し方ないところ。

 船に十分な食料があったとしても、無人島の野生動物を捕えながら2年間も15人が食いつなげるのか、漂流してきた凶悪な海賊たちを何の恐れも後悔もなく射殺してしまうとか、劣悪な環境の中、大した病気も飢えもなく全員が無事に生還するとか、時代の違いはあるし、そんなことばかり気にしてはいけないとは分かっているが、どうしてもひっかかってしまう。子供のための冒険物語、という作品だろう。