流れ星と遊んだころ/連城三紀彦 2003年 評価:2


 大スター花村のマネージャー北上は、花村の傲慢な態度に我慢しきれず、ある晩、飲み屋で知り合った男女の犯罪コンビの魅力に惹かれ、このふたりを花村を踏み台にスターに仕立て上げることを決意する。

 ある男の独白形式で話は始まっていくのだが、しょっぱなから、ずぶの素人が大スターになっていくというストーリー展開に全く信憑性を感じられず、これはその男が話をでっちあげていて、警察をだましている展開(映画でいえば「ユージュアル・サスペクツ」)なのだろうと穿った見方しかできない。その予想は外れるのだが、読者の予想を覆してやろうというような無理やりなストーリーと人物像で、作品の中に入って行けず、テレビの安っぽい2時間ミステリーをみているような感覚。

 安っぽいミステリーであろうとそれなりには面白いので、最後まで読めたし、文章的には悪くはなく、書く内容によるのかもしれないので、本作だけでこの作家の判断まではできない。

 本作は「おすすめ文庫王国2015」国内ミステリー部門1位ということだが、元々こういうランキングは何を根拠に選んだのか分からず、裏の力も働いているのでほとんどあてにならないのは、最近よく目にする、映画広告における「○○満足度第1位」と同じ。今はプロットだけでも面白ければ売れるのかもしれないが、少なくとも私はだめだ。