何かが道をやってくる/レイ・ブラッドベリ 1962年 評価:3
ある年の万聖節前夜。隣同士の家に住むジムとウィル、13歳の二人の少年は、遠くから聞こえる汽笛とカライアピー(蒸気オルガン)に誘われ、真夜中に郊外の広場に出かける。そこではカーニバル団が見世物小屋を一夜のうちに建設していた。翌日からカーニバルに繰り出す二人だったが、周囲の人々の異変に気付くとともに、団長の刺青男や魔女たちに追われることになる。
物語は非常に単純。二人の少年がカーニバル団の正体に気付いたため、団員たちが二人を捕まえようとする。それを救うのがウィルの初老の父親で、その経験の中で父子の絆と二人の少年の友情が再確認されるという内容。
これを詩人でもあるブラッドベリが素晴らしい文章と描写で描きだし、その点は感嘆するしかないのだが、遅々として進まないストーリーに閉口してしまうのも事実。また、なんとなく技巧に走りすぎているところが評価が上がらない要因。しかし描かれるダークな世界観は奇怪で且つ詩的である。現在二度目の映画化が進行中らしく、この内容をすっかり映像にできたら素晴らしいものになるだろうというような、絵的に優れた作品。