小僧の神様/志賀直哉 1928年 評価:3


 1912年から1920年に発表された11篇からなる短篇集。特に評論家や文学界からの評価がやたらと高い志賀直哉だが、どうも私の琴線は弾かない。その理由は、基本的に裕福な家に生まれ、特に生きるために働くという環境になかったからか、物語の登場人物に生活観がまるでないことが第一だろうと思う。もちろん、良い作品もあるのだが、川端康成の作品のように文章によって感性が揺れることはない。確かに文章としては均整が取れていて無駄がないとは思うが、一読書愛好家でしかない私は、いくら評論家の評価が高くてもごく普通の面白さと感じれば、そう評価を下すしかない。