戦い続けた男の素顔/松本清張 2009年 評価:1
松本清張の、自伝的要素が入っている短編12編(1954-1991)を、宮部みゆきがセレクトして収録した短編集。幼い頃に姉二人をなくし、一人っ子として、貧乏な家庭で過保護に育ってきた自身の分身を反映した主人公がほとんどである。
12編のうち、3編は題材が同じであり、実質は9編。そのほとんどが、貧乏だった主人公の父や祖父とその田舎の描写が多い。大正の時代の田舎への細かな道程や景色を短編の割りにはかなり細かく記載していて、私には想像もし難いので、正直辟易する。またすべてが貧乏暮らしから始まる悲惨な人生を描いていることから、段々と既読感が募ってくるため、読む気も失せてくるというのが正直な感想。