真田太平記/池波正太郎 1988年 評価:3


 織田、豊臣、徳川と続いた戦国時代末期を生き抜いた真田昌幸とその息子である信幸、幸村兄弟の生涯を約50年にわたって描いた、12巻、計6000ページを超える大作であるとともに1985年のNHK大河ドラマの原作という著名な作品である。

 戦国時代を生き抜いた男気あふれる武将達を描いており、間違いなく娯楽として面白いのだが、正直に感想を述べると、創作上の人物(樋口角兵衛等)やかなりの紙面を割いている草の者(忍者)の活躍にかかる描写が、戦国時代にそれはないだろうという、8年に亘り週刊誌に連載された小説だったからこそ描かれる奇抜な演出が少し鼻につくのと、それのために真田家を軸とした物語が多少ぶれて無駄に長い感じを受けてしまう。あと、これは超長編なのでしょうがないが(ある面親切ではあるのだが)、過去の経緯を何度も繰り返して記載するところもあり、一気に読める今となってはうまく要約すれば2/3ぐらいの物量で済むと考えられる。

 面白いことに異論はないが、今一つ心に響かないというのが正直な感想である。