脱出/吉村昭 1982年 評価:1
第二次世界大戦終結前後の日本各地における、兵士ではない少年、青年等を主人公に、戦争がもたらす一般人への影響を描いた5編からなる短編集。
吉村昭は、非常に緻密に事実関係を調査して作品を書く作家らしい。特に本作は戦時中に自分が感じたことを非常に客観的に事実関係を書き重ねたような日記のような作品ばかりである。正直、物語として面白いというわけでも、何かを訴えるというような感じではないため、戦時を生きてきた人には、つらく厳しかった時代を思い起こすのかもしれないが、もちろん、その時代を知らない私にとってみれば、あまりに淡々としていて面白みがなく、全編を読みきらぬ前に本を閉じた。