恋愛論/スタンダール 1822年 評価:2
「パルムの僧院」「赤と黒」で有名なスタンダールの恋愛についてのエッセイ集。大学生の頃に読み、作中にある「結晶化作用」に大いに共感してはいたものの、それ以外はあまり面白くなかったという印象があった。年もとり、それ以外の部分でも感慨があるかもしれないと思い、再読してみたものである。
しかし、学生時代に感じたのと同じ感想であった。違和感があるのは、1800年代前半のフランスの社交界が背景にあるため、女性はいかに身分の高い男性と結婚するか、男性は先祖から受け継がれてきた財産に安穏としつつ軍隊勤務と恋愛に情熱を注ぐことに注力しており、現代とは状況が大きく違うということ。恋愛について本当に細かく分析しているのだが、それが当時では最大の関心ごとだったからなしえた業であり、現代での感覚ではその内容には引いてしまう。延々と一昔前の小さな文字で500ページ以上の文量で、さすがに読破をあきらめた。
途中でやめたという点からは評価1となるのだが、やはり「結晶化作用」というのは鋭く恋愛の本質を突いていると思うし、若かりし頃に読めばそれはそれで得るものも多いと思うので、評価2としておく。