たそがれ清兵衛/藤沢周平 1991年 評価:3


 江戸時代、実は剣の名手でありながら、現在はさえない生活を送り、「たそがれ」とか「ごますり」とか「だんまり」といったあだ名を頂戴しているが、わけあってその秘剣を使うことになる下級武士を描いた8話の短編小説集。

 冴えない男が秘剣を使って難敵を打ち破るというカタルシスはあるものの、その腕前を持っていながらなぜ落ちぶれているのかは、短編のため深彫りされないためよくわからず、それぞれが小粒の良品という枠は出ない。

 ちなみに映画「たそがれ清兵衛」は本作の「たそがれ清兵衛」と「祝い人助八」を原作としており、映画はうまく作ったなという印象。「たそがれ清兵衛」だけではあぁまで感動的な映画にならなかっただろう。