ナバロンの嵐/アリステア・マクリーン 1968年 評価2


 同作家の映画版がヒットした「ナバロンの要塞」(1961年)の主要人物、世界的な登山家であるマロリー大尉、強靭な肉体を持つアンドレア中佐、化学の専門家ミラー伍長をそのまま引き継いで書かれた続編で、学生時代に読んだことがあるので、再読となる。
上記3人は、難攻不落のナバロン島にあるドイツの要塞砲を破壊する激務を果たした直後、ユーゴスラヴィアでドイツ軍に囲まれ孤立している7000人のパルチザン兵士と、同地で捕虜になっている4人のイギリス軍士官の救出の指令を受ける。

 前作が映画共々ヒットしたことを受けての11年ぶりの続編となるが、主要3人の超人的な活躍のみが取りざたされ、前作にあった、仲間の中に裏切り者がいるというミステリー要素もなく、なんとも退屈な作品。かなり無茶な展開で、ご都合主義的な辻褄合わせも随所に感じられるし、3人はどんな状況になっても難なく切り抜け、無事なため、ストーリーも先が読めてつまらない。一時期の映画版007シリーズのような緊迫感のない娯楽作品という感じ。

 それでも学生時代は面白く感じたのは、やはりその時代というのはマッチョな男に憧れるからなのだろう。