羅生門・鼻/芥川龍之介 1915〜22年 評価:2
1915年発表の「羅生門」から1922年発表の「俊寛」までの短編8編が収められている。ずっと前に読んだことはあるが、年を重ねて、新たな良さを発見できるかと目論んだ。
まず、文体が古い。なので、難しい漢字が多く、文章自体も非常に読みづらいため、なかなか読み進まない。また、あまりストーリーらしいものがないのも特徴か。芥川作品に長編がほとんどないというのは、書く気がなかったためというのが第一ではあろうが、ストーリーを構築する才能と根気がなかったからかもしれない。
しかし、その文章自体の美しさは記さねばなるまい。文章及び語彙ひとつひとつにこめる情景と意味の、流れるような構成には感嘆させられる。しかし、私が、映画は芸術性のみを追求するのではなく、エンタテイメント性もなければならないと考えるのと同様、小説についても、芸術性だけでは高評価は与えられない。