ビルマの竪琴/竹山道雄 1950年 評価:3


 二度映画化されているし、教科書でも取り上げられる作品であり、ほとんどの人がそのあらすじを知っているものと思われる。私ももちろん記憶にあるが、良くも悪くもその記憶同等の感慨しか持つことはなかった。

 それはまず、本作が児童向きに書かれていることが原因。文章が短めで完結。展開もかなり無理がある。さらに作者は本来ドイツ文学者で、生粋の物書きではないこともあり(小説は本作のみ)、なんとなく筋をなぞるような進み方で、文章的な魅力はない。このため、水島一等兵の気概と意志の強さには感銘するものの、小説として面白いかとなると疑問符をつけざるを得ない。