時をかける少女/筒井康隆 1967年 評価:3
「時をかける少女」「」悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」の3編を納めた短編集で、SFというよりはファンタジーといったほうがよいだろう。
筒井康隆は有名人だが、著作としてこれ、というものはないという印象だったが、その要因は読んでみてわかった。軽いのである。SF系の赤川次郎という感じである。ただ、SFであるので、設定の甘さが気にならないし、登場人物がまじめに描かれているので、途中で嫌気がさすということはない。また、軽さを感じさせる要因のひとつ、SFとしてたいした内容ではないというのがあるが、40年以上前の作品であるので、今となっては目新しいものではないが当時としての感覚を想像すると斬新だったのかもしれない。
まぁ、特筆するところはないのだが、「時をかける少女」はSFものでありながら、中学生の繊細な恋心も綺麗に描いていて、なかなか魅了的である。確かに短編では物足りなくて、映画にしたのは正解だったと思うし、特に06年版のアニメは、舞台を現代に移していながら違和感なく、秀逸な出来だったと、原作を読んで改めて感じた。