シューレス・ジョー/W・P・キンセラ 1985年 評価:4
まだ誠実そうな雰囲気を持っていたケビン・コスナー主演の秀作映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作。
映画版は、「それを作れば、彼は来る」という空からの言葉における「彼」が、今は隠遁生活を送っている作家のことなのか、昔八百長疑惑で野球界を追放された”シューレス・ジョー”ことジョー・ジャクソンなのかという謎解きをしながら、最後に「彼」とは自分の父親のことだったという、感涙ものの傑作であったが、原作の筋に大方忠実である。
原作では作家は実在の「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーであり、サリンジャーとの絡みに割く時間が多い。また、もちろんそれぞれの人物描写も丁寧であるが、なにぶん、映画版が素晴らしかったので、その印象がどうしても頭からぬぐえない。