「インナーヴィジョンズ/スティーヴィー・ワンダー」 73年 評価 3.5


 70年代初期の名盤3部作の2作目。ドラッグでハイになった気分を歌う初っ端の「トゥ・ハイ」から、天才スティーヴィー・ワンダーの独特の音楽世界が展開。スローのアルバム表題曲、社会的な風刺が鋭い「汚れた街」、ミドルテンポでマーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」を彷彿させる「ゴールデン・レイディ」と続く旧A面は、全くスキのない驚愕の仕上がりだ。

 B面はA面ほどではないし、個人的にはそう好きではない曲もあるのが、それでもスティーヴィーの天才ぶりがいかんなく発揮された作品であることは間違いない。でも評価がそれほど上がらないのは、単曲として名曲といえるものがないことと、やはり総じて自分の好みとはずれているからとしか言いようがない。