「トゥゲザー・フォーエバー/リック・アストリー」 88年  評価4


 80年代後半に学生時代を迎えていた人の大半は知っているであろう、なつかしや!リック・アストリー。まさしく一発屋で消えていった彼だが、絶頂期に出したこの一枚は当時のディスコサウンドで彩られている。

 「トゥゲザー・フォーエバー」「ホエネヴァー・ユー・ニード・サムバディ」「ギブ・ユー・アップ」「ストロング・ストロング・マン」のA面1曲目〜4曲目とB面1曲目「ドント・セイ・グッバイ」の5曲はそれはそれはよくディスコでかかっていた曲で、当時新宿と渋谷(六本木でないところが所詮千葉の田舎もん)で開店から閉店まで入り浸り、ディスコで夕食、仮眠まで(夢の中でも踊っている!)していた私にとって懐かしいし、キャッチーで覚えやすく、曲として非常に良く出来ており、当時あれだけヒットしたことが確認できる。また、はじめて聴いた時、黒人と思ったほど、声にはこもった深みがあり、ボーカルも魅力的であった。

 しかし、やはりアルバム一枚全てをそのテンション、レベルで統一できているわけはなく、B面の2曲目以降はかなり息も絶え絶えで、最後にナット・キング・コールのアレンジにそっくりな「恋に落ちた時」(悪い出来ではないが)をいれてお茶を濁している始末。

 とはいえ、当時リックだけではなくバナナラマやカイリー・ミノーグ(偶然新宿のディスコで歌っているのを見たことがある)などでヒットを連発していたストック−エイトキン−ウォーターマンのトリオはさすがに一時期に出しすぎたこともありその後とんと音沙汰もないが、あれだけのブームを作ったことからもその絶頂期の楽曲群は今聴いても良いものが多い。