「世界に捧ぐ/クイーン」 77年 評価 3.5
クイーンの6作目で、「オペラ座の夜」と「華麗なるレース」でロック・オペラをやりつくした彼らが、少しシンプルに、ライヴで映えるような単曲として魅力ある曲群で構成した作品。
すでにロックの古典となった「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」でまたもってファンの度肝を抜き(クイーンの作品は1曲目にそういう類の曲を持ってくることが多い)、その後、疾走感溢れるロジャーの「シアー・ハート・アタック」、メイのスローテンポで特徴的な「オール・デッド」、ミドルテンポで良質なポップセンスあふれるディーコンの「永遠の翼」とつながる旧A面は、バンドが充実期を迎え、各メンバーが対等なところまでレベルアップしたことが伺えて、バラエティに富んだ上で完成度の高い素晴らしい内容。一方B面はそれぞれの完成度は高いのだが、ロック、ブルース、レゲエ、ハードロック、スローブルースとあまりに多様過ぎて散漫な印象はぬぐえない。
しかし、本作でクイーンは完全にハードロックバンドという枠を抜け出した感がする。「オペラ座の夜」という名盤(私の評点は高くはないが)を製作した後でも、このレベルの作品を作っていたというのは呆れてしまうほどすごいことで、今更ながらクイーンというバンドの凄さに気づいたというところだ。