「シアー・ハート・アタック/クイーン」 74年 評価 4.5


 クイーンの3作目。前作からたった8カ月のインターバルで発売されたが、当時の勢いと、溢れ出るメンバーたちの創作意欲を強く感じさせ、また、内容の多様性を広げながらも完成度を上げてきた内容に、完全にゾーンに入っていく一流バンド特有の魅力を感じさせる一枚で、本作の後に名盤「オペラ座の夜」が製作されたのは必然。

 1曲目の「ブライトン・ロック」のハードで重厚なギターとドラム、ファルセットと地声を変幻自在に使いこなすフレディの魔術的とでもいえるボーカルでがっちりとリスナーのハートをわしづかみ。その後「キラー・クイーン」以下は、単純にハード・ロックというジャンルに縛られない様々な種類の楽曲が怒涛の如く押し寄せ、あらゆるリスナーを巻き込むバンドのパワーが凄まじい。

 ビートルズの「サージェント・ペパーズ〜」の前の「リボルバー」、エルトンの「黄昏のレンガ路」の前の「ピアニストを撃つな!」、デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」の前の「ハンキー・ドリー」という、超名盤前の才能と勢いで作り上げたという傑作の類に連なる作品で、個々の曲の完成度の高さとほとばしる才能のきらめきを感じることのできる、これもまた名盤である。