「クイーンU/クイーン」 74年 評価 3.5
洋楽聴きはじめが1983年だった私は、クイーンに対し、1984年の「ワークス」からのヒット曲「ラジオ・ガ・ガ」のメロディ的に単調なところやMVのおかしな格好と振り付け、それとフレディ・マーキュリーの奇抜な存在感から、色物っぽい印象をずっと持っていた。「ボヘミアン・ラプソディ」は名曲とは感じていたが、「愛という名の欲望」などのMVの奇抜さからもフレディ・マーキュリーの個性に依存したワンマンバンドとずっと思っていたのだ。
最近、カラオケで洋楽をうたうときに、クイーンの楽曲の良さと、みんなで一体になって歌う際の高揚感に気づき、そして予想外の大ヒットを記録している映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観て、再度クイーンをきちっと聴き直す必要があると感じていた。そして手始めに、2作目であり、ファンの間で名盤と名高い本作から聴いてみた。
まず、フレディのワンマンバンドではない。本作ではブライアン・メイのソリッドで力強いギター、ロジャー・テイラーのスピード感あふれるドラムが織りなす正統派ハードロックのベースがあるうえでの、ハードロックの枠を超えた音作り、多様性、重厚なコーラスは4人がいてこそのクイーンだということを気づかせる。個性的だがこの一体感。発足以降メンバーの入れ替えがなく、4人で作り上げてきたハードだが温かみを感じるこの雰囲気がクイーンの特徴でもあるのだろう。
ということで、クイーンがまぎれもない超一流ロック・バンドということに本作により今更ながら気が付いたものの、評価は私にとってあまり高くない。それは、思いっきり内容がハードロック寄りであること、メロディ的にはまだ汎用であることが原因。それは私の嗜好の中心がロック/ポップスであるためで、ハードロック寄りのファンにとって本作が名盤であることを何ら否定するものではない。ハードロックとしては「ファザー・トゥ・サン」「オウガ・バトル」の突き抜け感がハンパないし、ころころと変わるメロディをもつ「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」などは、その後の「ボヘミアン・ラプソディ」にも通じるもので、この作品はクイーンの将来の成功を予感させる。