「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ/プリンス」 85年 評価3.5


 大ヒットアルバム「パープル・レイン」の翌年に発表された作品で、ファンの間では「大ヒットアルバムを継承せず、殿下(ファンは彼のことをこう呼ぶらしい)が好きなようなアルバムを作り、以降のわが道を行く始まりとなったアルバム」というような評価が多いらしい。

 しかし個人的にはかなりポップで、一般的にも聴きやすいものとの印象をもっている。「ペイズリー・パーク」「ラズベリー・ベレー」「ポップ・ライフ」は彼の得意の(?)絶叫もあまりなく、普通のポップソングとしても十分上質な出来である。また、「コンディション・オブ・ザ・ハート」は彼が歌うからこそ奇抜な印象だが、とても美しいメロディだ。その分ラストの「テンプテイション」ではやりたい放題。絶叫に継ぐ絶叫。ここまでしてくれると返って気持ちがいい。

 サウンド的にバラエティに富んでいて、細部にわたって隙がなく、彼が間違いなく天才であることがわかる。あとは好きか嫌いかの問題だけ・・・ 私はプリンスのアルバムの中ではこれが一番好きである。