「シンクロニシティー/ポリス」 83年  評価5


 ポリスの5作目で、実質的なラストアルバムとなる本作は歴史的な傑作である。私は正直、これまでの4作の”白いレゲエ”と分類されていた頃の曲調はあまり好きではなく(4作目はだいぶロック色が強くなっていたが)、総て消してしまっている。

 全編に感じられるのは、ロックを基本としてレゲエ、パンク、ジャズ、ハードロックといった様々な要素が詰まっていること。A面は特に個性的かつ実験的で完成度の高い曲が並び、B面にはスティングが主導を取ったメロディアスで芸術性の高い楽曲が並ぶ。どことして弛んだところのみられない、ロックアルバムの頂点に立つ内容である。

 本作からの名曲を挙げるとすれば、一般的には「見つめていたい」「キング・オブ・ペイン」「シンクロニシティーT、U」となるだろうが、どれも印象の違う曲で、それだけで彼らの奥深さがわかろうというもの。ギター(アンディ・サマーズ)、ベース(スティング)、ドラム(ステュワート・コープランド)という最小の構成でありながら、創作しうる最大最高のパフォーマンスを本作で見せた彼らは、本作後、必然的に解散状態になり、それぞれソロの活動で成功を収めていくことになる。たぶんこの後にアルバムを作ったとしても本作以上には仕上がらなかっただろうし、彼らもそれを察知していたのか、これ以降はないといった仕上がり具合である。普通にロックが好きな人はベスト盤よりも本作を持っているほうが意味があると思う。