「ベスト・オブ・フィル・コリンズ/フィル・コリンズ」 96年 評価4


 ソロ5作目93年「ボース・サイズ」で急降下し、復活を図った6作目96年「ダンス・イントゥ・ザ・ライト」も低迷したフィルの初のベストアルバムで、発売が時期を逸した間は否めない。

 私の好きな曲ベストスリーは「見つめて欲しい」「セパレート・ライブス」(作曲はスティーヴン・ビショップ)「トゥー・ハーツ」で、どれもサントラ盤からのカットで、ソロアルバムに収められていない曲である。これらは名曲といえるものであるが、勢いがなくなった後に発売された本アルバムを聴くと、彼はアルバム全体として良いメロディを作ることは出来ず、単発で、一曲入魂で作ったほうが良いメロディが作れるということを如実に表していると感じざるを得ない。確かに本アルバムの各ソロアルバム収録曲はほぼ同じサウンド(分厚いドラムとホーンセッション)で、メロディ的にも同じテンポ、同じフレーズの繰り返しという感じで、今となっては取り上げるべきものは少ないというのが本音。