「夜の囁き/フィル・コリンズ」 81年 評価4


 ピーター・ガブリエルの脱退後、ジェネシスの実質的なフロントマンとなったフィル・コリンズの初のソロアルバム。81年の作品だが、フィル3作目のソロアルバム『ノ・ジャケット・リクワイアド』、ジェネシスの『インビジブル・タッチ』が大ブレイクしていた85,86年に再度年間チャートにチャートインしていたことからわかるとおり、なかなか質の高い作品。

 80年代以降のグループとしてのジェネシスは良くも悪くもフィルの影響が非常に大きいわけだが、本作を発表したころはまだジェネシスもプログレッシヴ・ロックの範疇にいて、このソロアルバムも、芸術的で暗いというような雰囲気がある。しかし、後のポップ路線での成功を予感させるような印象的なメロディを持つ曲も多く、どちらのジャンルのファンも満足できそうな仕上がりである。