「SO/ピーター・ガブリエル」 86年 評価 4.5
70年代ジェネシスの中心人物だったピーター・ガブリエルのソロ5作目。ジェネシス脱退後もプログレ路線をひた進み、難解な曲が多かった彼(昔ソロ3、4作目も持っていたがあまりに特異なため消去済み)も、ジェネシスの『インビジブル・タッチ』、メンバーのソロアルバム『ノー・ジャケット・リクワイアド』(フィル・コリンズ)、『マイク&ザ・メカニクス』(マイク・ラザフォード)の大ヒットに触発されたのか、本作ではそれまでにない明確な曲としての成立性を重視し、キャッチーなメロディの曲をそろえた。結果、本作は大ヒット。内容的にフィルほどポップでもなく、旧新両方のファンに受け入れられた。
確かにそれまでのアルバム収録曲に比して判りやすい曲が多いが、といって独自の世界も失っていないため、芸術性の高さと程よいロック・ポップス度がちょうど良くブレンドされた傑作に仕上がっている。
特にA面の「レッド・レイン」、大ヒット曲「スレッジ・ハンマー」(ビデオ・クリップも秀逸な出来)、ケイト・ブッシュとの感動的なデュエット曲「ドント・ギヴ・アップ」の流れは素晴らしい。
しかし、次作『US』ではまたそれまでのピーターに戻ったため、私としては聴かないジャンルに行ってしまった。