「オール・ザ・ベスト/ポール・マッカートニー」 87年  評価3.5


 ポール・マッカートニー及びウイングス時代のヒット曲を集めたベスト盤。稀代のメロディ・メーカーであったポールのヒット曲がほとんど収められている決定盤といってよいだろう。

 しかし、17曲という収録数の中にはなぜこの曲が?というものが少なくとも3曲ほど入っているのも事実。無理に曲数をそろえるくらいなら、ポールにはちょっとした小曲にも秀でた曲が多いのでそういうものを入れたほうが良かった。また、チャートアクション上は良くても好き嫌いのある曲もあり、それで評価は上がらない。

 歌詞のマンネリ化が揶揄されたことを逆手に取った「心のラヴ・ソング」、壮大で美しいラヴ・ソング「マイ・ラヴ」、ビートルズ・テイストを残した佳曲「アナザー・デイ」、そして007シリーズの主題歌としてNo.1の出来と思われる「死ぬのは奴らだ」など、誰もが認めざるを得ない美しいメロディ・ラインの数々は、やはり天才であることを感じさせるが、ビートルズ解散後、ジョンほど人々の心に響く曲を残せなかった事実は否めなく、やはりジョンとの微妙なバランスの基で作られたビートルズ時代の楽曲群には遠く及ばなかったと評価せざるを得ないだろう。