「BAD/マイケル・ジャクソン」 87年  評価4


 前作『スリラー』から約5年。この間にマイケルはUSA for AFRICAに参加し曲を書いたりもしたが、スーパースターとなった代償にゴシップで取り上げられることが多くなる。それでも本作からシングルカットした5曲が連続でNo.1になるという記録を打ちたて、音楽的にはKING of POPの道を歩み続ける。

 ソウル&ロックの延長線上にあった前作と比べポップさが目立つようになったが、同時にマイケル独自の世界を確実に築いている。またもやビデオクリップで驚愕のダンスを見せる「BAD」(ドラマ部分はスコセッシが監督)、「スムーズ・クリミナル」、「後半のゴスペル調の盛り上がりが感動的な名曲「マン・イン・ザ・ミラー」、オーソドックスな甘いラブソング「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」など、曲の質としては前作を凌ぐと言っても過言ではあるまい。

 確かに4,5年に1作しかアルバムを出さない寡作なマイケルであるが、期待を裏切ったことは1度もない。それは、モンスターアルバムの次作となり、製作に相当のプレッシャーがあったであろう本作で、前作以上のクオリティを確保したことからはじまっている。まさにKING of POPマイケルの伝説はここから始まる。