「密会/ハミングバード」 73年  評価4


 第2期ジェフ・ベック・グループのメンバーを中心に結成されたハミングバードが残した3作のうちのセカンドアルバムで、このグル―ップのアルバムの中で最も評価が高い。

 私は元々ロック/ポップスが好きで、ジェフ・ベックというアーティストはもちろん知っていたものの、私が最も洋楽に嵌っていた次期(1980年代後期)に1枚しかアルバムを発表しなかったこともあり、あまり接点はなく、もちろんハミングバードというグループも全然知らなかった。聴いてみて、80年代に聴いても多分好きにはならなかったろうと思った。

 内容は、ファンク、ジャズ、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)などの要素がごちゃまぜになったもの。ボーカルはあってないようなものだし、メロディ的にも、特にボーカル曲は取るに足らない。しかし、その演奏はどれも冴えわたり、職人たちの紡ぎだす作品群に聞き入ってしまう。なんか、聴いていて気持ちいいんだなぁ。
私の好きな絵画で例えると、その技法は認めるもののさして好きではなかったが、歳をとるにつれ、その計算されつくした職人芸に感嘆してしまうことになったセザンヌのようなものだ。やはり昔から評価の高いものは、いつか自分の人生の内で「良いもの」と認められる時期が来るということか。