「フロム・A・トゥー・ONE/ホール&オーツ」 83年 評価4.5
これ以前のスタジオアルバムの項でも書いたが、『プライベート・アイズ』以前のホール&オーツのアルバムには良い曲が1、2曲しかなく、アルバムとして評価できる数は少ない。今作は10年のキャリアを誇るホール&オーツの初のベストアルバムになるわけだが、そんな各アルバムの1、2曲を集めており、素晴らしいベスト版に仕上がっている。
このアルバムで聴ける曲は、各アルバムで強く感じられる音の陳腐さ、メロディーの貧弱さを微塵も感じさせない。アルバムとしての価値を見出せない『モダン・ポップ』以前のアルバムからの「サラ・スマイル」「シーズ・ゴーン」「リッチ・ガール」「ウェイト・フォー・ミー」の4曲は全く古さを感じさせない名曲である。新曲の2曲も以前のアルバムでも感じさせた淡白さがなくてその時代に合った音の厚みがある。
アルバム全体が良いということがない彼らなので、このアルバムを持っていれば十分ともいえるし、逆にこのアルバムに彼らの良いところが総て詰まっているともいえる。