「インヴィジブル・タッチ/ジェネシス」 86年 評価 5
ジェネシスの13作目で、発売前年の85年にメンバーのフィル・コリンズのソロ、マイク・ラザフォードのグループのアルバムがヒットしており、本作もグループにとって最大のヒットを記録した。
収められている曲は、フィルのソロアルバムの作曲能力、単調さにトニーのシンセ、マイクのギターと作曲能力がちょうどよいスパイスとして加味されてグループとしてのサウンドが成熟し、傑作として仕上がっている。特に総ての曲がシングル・カットされたA面は素晴らしい楽曲群が並んでいる。B面は以前のプログレを意識したような構成になっているがポップス性が増し、多少中途半端ではある。しかし、「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト」「イン・トゥー・ディープ」「スローイング・イット・オール・アウェイ」という名曲、「インビジブル・タッチ」「混迷の地」といった良曲が数多く収められており、間違いなく80年代を代表する傑作といえよう。
しかし、次作91年『ウィ・キャント・ダンス』では当時のフィルの心境を反映してか暗い内容となり、興行的にも失敗したとともに、フィルのワンマンバンドになったことを明白にし、それ以降フィルは脱退。ジェネシスも衰退の一途をたどることとなる。