「タンゴ・イン・ザ・ナイト/フリートウッド・マック」 87年 評価4.5


 大ヒット作「噂」と本作の間のスタジオアルバムには「牙」(79年)「ミラージュ」(82年)があり、これらもかなりの成功を収めたが、かなり個々のメンバーの色合いが強くでて、個人的にはあまり好きではないため消してしまった。しかし、前作から5年。ほとんど解散状態だったバンドから再びこのようなフリートウッド・マック独自のマジックとも言うべきリズムが再現されるとは、誰が想像しただろう。

 前2作で目立った個性はバンドという形態に再融解し、「ビッグ・ラヴ」「エブリホエア」「セヴン・ワンダーズ」「リトル・ライズ」といったシングルヒット曲はこのバンドにしか出来ない音作りであるとともに、ソロでもなかなかの成功を集めた後だけに、ヒットのつぼを心得た音作り。

 あえて言うと、B面がちょっとポップすぎるか、という気がしないでもないが、1曲目の「ビッグ・ラヴ」の完璧で強烈なリズムは、まさに待ちに待ったフリートウッド本来の持ち味で、鳥肌が立つほどだ。