「ザ・ソフト・ブレティン/フレーミング・リップス」 99年 評価3.5
86年にデビューしたフレーミング・リップスの評価を高めた9作目。
実験的な音作りにキャッチーなメロディが売りという感じだが、「オルタナティブ・ロック」に分類されているバンドであり、その音作りは緻密とは言えない。どうしても70年代80年代の緻密に構成されたロックも好んでいた身としては、その雑さ加減が好みではない。
また、メロディはなかなか良いのだが、圧倒的に弱いのがボーカル。音痴?、線の細さが聴いていて気持ちよくない。今作後、その当たりが解消されるようなら聴いてみようかとも思うのだが、本作にあっては繰り返し聴きたいとは思えない。
本作で気づかされるのはボーカルの重要性。基本がしっかりしていて声に魅力があるというのは音楽の基本中の基本であり、当たり前のことと思っていたが(昔なら、それに製作者側が気付いていればボーカルを換えられたはず)、今の多様性の時代ではそうはいかないのだろう。だが、正直に批評をするうえではダメなものはダメと言いたい。