「グレイテスト・ヒッツ VOLV / エルトン・ジョン」 87年 評価4.5
エルトン3枚目のベストアルバムで、1979年から1987年までのヒット曲12曲を網羅している。バーニーと袂を分かち、スランプにも陥ったこの年代ではあるが、30代でありながら、アダルト路線に転向し、見事にヒット曲を生み出し続けた。本作は収録12曲、無駄のないベスト盤となっている。
ピアノマンと、ビリー・ジョエルと並び称されるエルトンだが、ピアノの音のイメージはビリーのほうがずっと強い。エルトンはあくまでロック、曲の良さで勝負しており、ピアノの音を前面に押し出すわけではない。その結果、特徴的、斬新な音を作り出すわけでもなく、また、バンドに凄い演奏技術があるわけでもないのだが、ヒット曲を30年以上にわたりチャートに送り続けた、類まれなエルトンのメロディ・メーカーとしての天賦の才を感じさせる一枚である。この頃のヒット曲は、昔ほどの奇想天外なメロディ展開はなくなったものの、エルトンにしか書けない独特のエルトン節は健在で、特にスロー〜ミドルテンポの曲に名曲が多い。ジョン・レノンを追悼した「エンプティ・ガーデン」、PVが印象的だった「悲しみのニキタ」、私がエルトンにはまるきっかけとなった「ブルースはお好き?」などなど、ヒット曲ばかりで、すでにピークは過ぎていながらもこれだけの名曲を残し続けてきたエルトンの偉大さを感じさせる。