「ジャンプ・アップ!/エルトン・ジョン」 82年 評価 4
前作で「おいおい大丈夫かい?」という印象を与えたエルトンが何とか立ち直りつつあることを示したアルバムで、本作からはシングルヒットとして「ブルー・アイズ」「エンプティ・ガーデン」が生まれている。
プロデューサーは前作に引き続きクリス・トーマス(ビートルズ、セックス・ピストルズ、ウイングスなどのプロデュース経験あり)で、彼もエルトンの今後の生かし方を捉えたのか、メロディラインを重視した得意の小気味良いポップスという感じに仕上げている。
全体的に非常に聞きやすく、メロディ的にも印象に残るものが多く、アルバムとしてよくまとまっているのだが、正直、全盛期のようなエルトン節、溢れんばかりの才能は感じることが出来ない。当時のサウンド、流行のメロディを揃えた結果、別にエルトンじゃなくてもいいんじゃないかという音になっている。
とはいっても、エルトンのメロディメーカーとしての才能が健在であることは感じ取れる。特に射殺されたジョン・レノンを偲んだ「エンプティ・ガーデン」はバーニー・トウピンの詩とともに80年代の名曲の一つで、数あるジョン・レノン追悼歌の中でも屈指の出来である。