「21at33/エルトン・ジョン」 80年 評価3.5
これ以前の3作で完全に勢いを失い過去の人になりつつあったエルトンが何とか盛り返した作品。迷走した『シングル・マン』、ディスコサウンドの『トム・ベル・セッションズ』『ヴィクティム・オブ・ラブ』でとりあえずガス抜きを終わったのか、それまでと方向転換をしアダルト・コンテンポラリーを狙ったような"大人の"サウンドとなっている。33歳で"大人の"というのもおかしいが、すでにいろいろなジャンルの作品でことごとく成功を収め、歴史的な名作も残し、確実にひとつのピークを極めてしまったことは確かで、これ以降どう一線で活躍していくかの答えがこれであったのだと思う。
本作では早くもバニーとの共作(3曲)が見られ、メロディもエルトン独特の美しいものが多い。全体的にそつなくまとめられ、飛びぬけるものはないが、ここ数年のエルトン作品と比べると何かほっとできるという仕上がり。
題名の通り、33歳にして21作目になる。ちょっと1作は何をカウントしているのかわからないが、20作のうちライヴが2枚、ベストが2枚、サントラが1枚で、スタジオアルバムとしては15作目で、69年デビューだから11年で15作と多作家のエルトンらしい記録である。
この後エルトンは現在に亘り前人未到の活躍を続けていく。それを可能にしたのはやはりエルトンの並外れた、まさに何十年に一人という天才的な作曲能力に他ならない。