「ロック・オブ・ジ・ウェスティーズ/エルトン・ジョン」 75年 評価4.5
エルトン10作目のスタジオアルバム。前作『キャプテン・ファンタスティック』に続きビルボード初登場1位という離れ業をやってのけた。音的には前作の硬質で完成度の高いロックを継承し、アルバム名どおり、よりロック色の濃い内容となっている。
損をしているアルバムだと思う。歴史的名作「黄昏のレンガ路」と「キャプテン・ファンタスティック」の直後のアルバムであるがために、どうしてもその2作と比較されてしまう。それと比較されれば評価が下なのは致し方ないが、バンドとしての完成度、躍動感は本作がピークといえるのではないか。確かにメロディの展開やアレンジには目新しいものはないが、バンドの力、エルトンの力強いボーカルなど特筆するものもあり、断じて悪い出来ではない。
しかし、本作まででやるべきことを成し遂げたというのは事実で、この後エルトンは第一期のスランプに陥る。これまで天賦の才能と若さで突っ走ってきた(ベスト、ライヴ盤等も含めると年2作ペース)彼も、若干28歳でついに息切れするときが来たのだ。