「グレイテスト・ヒッツ/エルトン・ジョン」 74年 評価4.5
対象期間は70年の『エルトン・ジョン』から74年の『カリブ』まで。この5年間にエルトンはなんと7枚のスタジオ・アルバムをリリース。72年の『ホンキー・シャトー』以降は4枚連続で全米No.1を獲得中というまさにノリにノッていた時期に発表されたエルトン初のベスト盤。74年には『黄昏のレンガ路』で、75年には本作で年間アルバムチャートNo.1を獲得している。
対象の5年間はエルトンが1作ごとに成長を遂げていた期間で、収められているシングルヒットの数々を聴きなおしてみると、まさに変幻自在、天才としか表現しようがない。
ラブソングの古典「僕の歌は君の歌」、ドラマティックな展開のラブソング「僕の瞳に小さな太陽」、青春を思慕するバラード「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」というスローテンポの曲のメロディラインの美しさ、歌詞とのコラボレーションが見事な「ダニエル」「ロケット・マン」といったミドルテンポの見事なエルトン節、最高に気持ちのいいノリの「土曜の夜は僕の生きがい」、ソウル調の「人生の壁」、ライヴでこそ魅力が発揮される「ホンキー・キャット」「ベニーとジェッツ」・・・本当に一人のアーティストがたった5年の間に作り上げたのか、と驚愕すらする。
エルトン若干27歳。確かに変貌の時期でトータル性が低いベスト盤ではあるが、間違いなく70年代最大のスーパースターにして10年に一人の天才の魅力を思う存分感じることが出来る。