「カリブ/エルトン・ジョン」 74年 評価4.5


 娯楽的名作「黄昏のレンガ路」と芸術的名作「キャプテン・ファンタスティック・アンド・ブラウン・ダート・カウボーイ」の間に作られたため(「黄昏のレンガ路」とほぼ同時期に録音された)、ちょっと影が薄いが、エルトン絶頂期のあふれる才能と天才振りを無意識に感じてしまう傑作。

 作風としては当然「黄昏のレンガ路」に近いものであるが、それより肩の力が抜けた、本当に、楽しんで音楽を作っているという雰囲気が感じられる。A面が特にそうで、結構はちゃめちゃな構成なのだが、どれもこれも完成度が高く、それもわずか10日ほどで作り上げたというのだから、もうまさに天才としか言いようがない。

 「僕の瞳に小さな太陽」は間違いなく歴史に残る名曲であるし、「ティッキング」ではピアニストとしての確かな腕も披露。ミディアムテンポのラヴソング「ピンキー」は独特の雰囲気の長閑な隠れた名曲。