「ピアニストを撃つな!/エルトン・ジョン」 73年 評価3.5


 トリュフォーの映画「ピアニストを撃て!」に触発されてつけたタイトルとジャケットが傑作なエルトンの7作目のアルバムで、「ホンキー・シャトゥ」と名作「黄昏のレンガ路」の間に位置する。

 残念ながら、その前後の作品のカラーが混じりあって、全体的にまとまりのない内容になっている。エルトン絶頂期のほとばしる才能がこの結果を導いたと考えられるが、このあと2枚組の大作にして名作の「イエロー〜」でこの才能が結実する上で、避けることの出来ない道程であったのだろう。

 「ダニエル」はミディアムテンポの一聴地味な曲だが、スペイン戦争で傷つき、変わってしまった兄への思慕がシンプルな歌詞に凝縮した文句のつけようのない名曲である。