「ホンキー・シャトゥ/エルトン・ジョン」 72年 評価3.5
エルトン5枚目のスタジオアルバムで、本作から7作連続でアルバムは全米No.1となった。フランスで録音されたこともあり、前作までの土臭いロックと打って変わって、垢抜けたロック・ポップが展開される。とにかく様々な曲種(純粋なロックンロールから、秀逸なメロディラインのバラード、ゴスペル調からカントリー調、タップダンスの音を取り入れたり・・・)の噴出は、これから来るエルトン時代の幕開けを十分予感させる。
若干、まだアルバムとしてのまとまりに欠ける感はあるが、それぞれの曲の完成度は高い。ただ、楽曲として好きかといわれるとそうでもないというのが正直な感想である。とはいえ、この頃のエルトンの曲には、どの曲も予想外のメロディの展開があり、彼の天才ぶりは本作でも明らかである。
私が特に好きなのはバリバリのロックンロールである「スージー」から一気に宇宙的な雰囲気を感じさせる、宇宙飛行士の孤独を歌った「ロケット・マン」への流れ。「ロケット・マン」のような内容の歌詞を何の違和感もなく、雰囲気を感じさせる曲に仕上げてしまうメロディメーカーはエルトンを置いてほかにないと断言してしまう。