「呪われた夜/イーグルス」 75年 評価4.5


 「ホテル・カリフォルニア」の完成度が高く、聴くごとによさがわかるような渋い名盤であったこと、様々なレビューからその前作にあたる本作の評価が高かったことから購入してみたものである。

 最初に聴いたとき、それほどでも・・・と思ったのは「ホテル〜」と同じ。また、聴きこむほどよくなってくるのも同じである。もっとも端正な顔立ちながら癖のある声のドン・ヘンリー、バタ臭い顔ながら柔らかなハイトーンボイスのグレン・フライ、優男的風貌だが高音でハードロック的ボーカルもこなせるランディ・マイズナーの個性あふれるボーカルは聴き応えがある。また、本作を最後に脱退したバーニー・レドンのインストルメンタルナンバーとラストのバラードは他とかなり色合いは違うが、これらの出来も良い。

 「呪われた夜」のシンプルだが完成されたコーラスと音の構成、「トゥー・メニイ・ハンズ」の痺れるほどかっこいいギターのかけあい、シンプルでも味わい深い「ハリウッド・ワルツ」など、個々の曲の完成度は非常に高く、確かにトータル性という面で「ホテル〜」に劣っても、非常に聴き応えのあるアルバムである。また、「ホテル〜」で評した「楽器が歌う」は本作でも感じられ、正直、楽器が奏でる音で評価が上がる曲というのは30年以上音楽を聴いてきて、イーグルスが初めてである。

 本作の「ホテル〜」とのもっとも大きな違いは、カントリー色が強く感じられることだ。ベスト盤も聴いてみたのだが、本作より前の作品ではカントリー色がさらに強く感じられ、単曲としてはそれほど好きな曲はなかったため、多分アルバムとして保持しても差し支えないといえるのは本作までという気はする。